知っていますか?煎り酒

2022年11月08日 公開
「明応九年三月五日将軍御成雑掌注文」という書物があります。
この書物には、1500年の3月5日(現在だと4月頃でしょうか)に記載されているのは、いわゆる当時の「御献立」です。
 細川氏のクーデターによって京都を追われた前将軍・足利義稙が、山口を統治していた大内義興を頼って山口を来訪することになり、この前将軍をもてなすために大内側が準備した、当時の日本最大級のおもてなし料理が記録されています。
 料理の記録は32のお膳と110品以上の料理の数々。
 同じ時代に、記録が残っているのは将軍のお膝元・京都畠山邸で今日された20献が最大とされているので、正に、中世日本最大の宴が、山口市で開かれていたわけです。


(再現された32献)
と、前置きは長くなりましたが、この中世当時には、お醤油はなかったと言われています。
当時は、砂糖、みりん、醤油がなく、甘みははちみつ、塩味は塩とたれ味噌(当時からお味噌はあったと言われています)、うまみは出汁を使っていました。
 当時「醤油の代わり」として使われていたのが、「煎り酒」です。
 今回は、手軽に「大内時代の味」を楽しんでいただきたいと考え、煎り酒をご協力店舗に設置させていただいています。

ご協力店舗はコチラ

 煎り酒は、最近改めて注目を集めている調味料で、「久原本店」や「茅乃屋」からも発売されています。お醤油より塩分が少ないということで注目されたようですが、実は中世から続く伝統的な調味料なのです。
 一般的な作り方は
①鍋に日本酒・梅干し・煮干しなどの出汁の材料を入れる。
②酒の量が半分になる程度まで煮詰める。
③目の細かい布などで濾す。
という、ごく簡単に見えて、実は煮切るのに思ったよりも時間がかかるものです。

 お醤油の代わりということで、お刺身などにつけるのもオススメですが、当時は煮物の味を調えるものとしても使われていました。梅の香りと、さっぱりとした塩味、少しのこる酒の甘みが感じられます。
 出汁につかう素材や、地方によって違う酒を使うため、それぞれの土地で味や色が違います。大内の煎り酒は、山口市内でとれる梅干しと、日本酒・山頭火を使うため、少し桃色がかった透明の液体で、見た目も美しいのが特徴です。
 この機会に、ちょっと変わった「中世の味」を体験していただくのも良いかもしれません。


↑この桃色の液体が「大内煎り酒」

“ホンモノ”を体験したい方は以下のHPをご参照ください!
 https://yamaguchi-city.jp/ouchigozen/eat.html